はじめに
茨城県土浦市にある土浦日本大学中等教育学校の中学3年生を対象とした「職業講和」で、「司法書士」の仕事などについて話をしました。 事前に学校側から話す内容について、①「司法書士」を志した理由、②司法書士の仕事の内容、③やりがいを感じること、苦労していること、➃生徒たちへの今後のアドバイス、などについて話をするように要請されていて、それに沿って話を進めました。
「司法書士の仕事」とは
司法書士の仕事内容については、弁護士と比較して考えてもらいました。弁護士は、民事事件で言えば、当事者間に争いが起きた場合に裁判所において訴訟代理人として裁判(訴訟活動)をするのが根冠となる仕事であるのに対して、司法書士の仕事は、むしろ、紛争を起こさせないようにすること(「予防司法」といいます。)、つまり、法的手続きやそれらに付随する法的助言等により、紛争を未然に防止することに寄与する仕事が根冠となる仕事であることを話しました(もう少し分かり易く説明したつもりですが…)。
具体的には、①不動産関係(登記手続きなど)、 ②企業法務、③裁判手続き、➃財産管理業務、⑤相談業務などについて説明をしました(特に生徒さんたちは、高齢者の財産管理や未成年後見等の話しに興味を持ってくれたようです)。
司法書士のやりがい等
また、「やりがいを感じること、苦労していること」として、仕事を通して色々な方々から感謝されること、また、やりがいと苦労の両方に当てはまりますが、様々な相談に対応できるようにするために、勉強を怠ることができないこと(資格さえ取って普通に仕事をしていれば、高収入を得られるものだと勘違いしていたこと。)などを話しました。
生徒さんへのアドバイス
無駄になる勉強は一つもない
今後のアドバイスとしては、①現在皆さんが毎日している勉強に無駄なものは一つもないこと、②社会に出てからも、なぜ「勉強」が必要なのかについて話しをしました。
①は、私自身、中学生の頃などは、「こんな勉強をしても大人になって何の役にも立たない。」などと考えた時がありました。しかし、例えば、「法律」と「数学」は、学問的に異質のものですが、解き方といいますか考え方がとてもよく似ていると感じています。数学の勉強が、法律を理解することにとても役に立ったと思います。今、皆さんが毎日している勉強は、必ず何かの役に立つはずです(影響を受けます)。また、そのように考えることで、勉強が面白くなってくるはずです、というような話をしました。
生涯、勉強が必要になる二つの理由
それから、皆さんのほとんどは、この学校を卒業すると大学に進学し、社会に出ていくのだと思いますが、皆さんが就く職業は、勉強を欠かすことができないお仕事ばかりだと思います。その理由は二つあります。一つは、人間は何もしないと能力が衰えていきます。どんなに優れたスポーツ選手でも、練習をしなければ能力は衰え、活躍できなくなるのと同じで、どんなに優秀な人でも、その能力を維持させるためには最低限の勉強が必要であって、さらに、社会で活躍するためには、それ以上の努力・勉強が必要になるのです。 それともう一つは、社会は常に変化しています。その変化に対応できるようにするための勉強を続けていく必要があります、というような話をしました。
大学進学は通過点
最後に、今、皆さんが勉強をしているのは何のためでしょうか。志望する大学に入るため?それは違うと思います。もちろん、志望する大学を目指して一生懸命努力することは素晴らしいことで、今後の人生においてもとても重要な意義を持ちますが、それがゴールではありません。皆さんは、社会に出て社会人として活躍するために勉強をされているのだと思います。大学は、その通過点に過ぎません。大学入学が全てと考えないでください。大学での勉強が疎かになってしまいそうだからです。大学に入っても、決して、勉強(研究)の手を抜かないでください。
皆さんのご活躍を期待しています!
最後に
ほとんどの生徒さんか、真剣な眼差しで時折私の顔を見ながら、メモを取る真摯な姿に感銘を受けました。生徒の皆さん、土浦日大中等の先生方、PTAの皆さま、ありかとうございました。
みらいリーガルオフィス
司法書士 大関 彰


コメント