個人再生手続きの解説

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個人再生手続きは、キャッシング等の借金の元金を大幅に減額させて、借金を計画的に返済することにより、借金を整理する裁判上の手続きです。個人再生手続きは、破産による不利益を回避でき、任意整理や特定調停といった債務整理と比較すると、借金を大幅に減額できるという大きな利点があります。

個人再生手続きは、例えば、住宅ローンの支払い中に、住宅ローン以外に多額の借金を抱えてしまった方に有効な手続きですが、住宅ローンを利用していない方でも、多額の借金の整理方法として利用するメリットが数多くあります。

住宅を所有している場合(住宅ローン支払い中の場合)

住宅を所有する方が破産をすると、自宅を失うことになりますが、個人再生手続きの「住宅ローン特則」という手続きを利用し、住宅ローンを除く借金の一定割合を返済するという内容の再生計画案が認可されることにより、自宅を所有したまま住宅ローン以外の借金の整理、大幅な減額が可能となります。

また、住宅ローンの支払いが遅れている場合など、再生手続きの中で、住宅ローンの支払い方法の変更を行うことができます。例えば、住宅ローンの債権者の同意を得て、滞納分をさらに分割で返済するようにしたり、支払い期間の延長を行ったりすることにより、毎月の返済の負担をできるだけ軽減し、計画的かつ確実に住宅ローンの返済を行えるようにしていきます。
※住宅ローンを6か月以上滞納するなど、住宅ローンの保証機関から一括請求を受けている場合は、当事務所では破産案件となります。

住宅を所有していない場合

個人再生手続きは、上記のように住宅を所有している方が多額の借金を抱えてしまった場合に、住宅ローン以外の借金を整理するのに極めて効果的な手続きですが、住宅を所有していない方でも多額の借金があり、下記に該当するような方は、個人再生手続きが効果的と思われます。

・公務員や企業にお勤めなど、安定収入がある方や、破産手続きを家族や勤務先に知られると、それらの理解が得られにくい場合など、破産による直接的な影響はないものの、破産を避けたい方

・破産をすると、仕事の継続に影響してくる方、例えば、生命保険の外交員の仕事など、破産をすると職業上の欠格事由に該当し、仕事の継続が困難になる方

・借金の主な原因が、浪費やギャンブルなど、「免責不許可事由」(借金の免除が受けられない)に該当し、破産しても免責が受けられない可能性がある方

・一定割合の財産的価値があるものを有する方

一定金額を超える金額の財産を持っている方が破産をすると、原則としてその財産を清算(お金に換えて債権者に配当)する必要がありますが、個人再生の場合は必ずしも財産を清算する必要はありません。例えば、仮に自己都合により退職した場合の退職金額の一定割合(8分の1程度)やローンの終わった自動車、また、長期間加入している生命保険で解約返戻金等の価値があるものは財産となりますが、破産の場合と異なり、個人再生の場合は、それらの財産を処分する必要はなく、自動車などは保有し続けることができます。

このように、個人再生手続きは、破産による問題点を回避して計画的に借金を返済する内容の債務整理を行うことができます。

自己破産との主な相違点

個人再生自己破産
ギャンブル等による借入がある手続き可能免責不許可の可能性(=借金が免除されないおそれ)
車や生命保険等の財産(20万円以上)があるそのまま保有できる原則として財産を処分し配当
生保の外交員等の一定の職種そのまま続けられる欠格事由に該当(失業するおそれ)

いくら返済すればいいのか

個人再生手続きが認められた場合の返済としては、個人の方の一般的なケース(借金が1500万円以下)では、a借金額の5分の1、b100万円(法定の最低弁済額)、c財産の合計額のうち、一番高い金額を返済することになります。

a借金の5分の1 b100万円 c財産の合計

a~cのうち、一番高い金額を返済します。

 ケース1

例えば、Aさんは、借金が800万円で、財産の合計が90万円ですと、800万円の5分の1の160万円を、原則として3年間で返済していきます(毎月45,000円程度)。

借金の5分の1最低弁済額財産の合計
(800万円) ×5分の1=160万円  100万円 退職金240万円×8分の1=30万円
生保解約金50万円
自動車査定額10万円
合計90万円

Aさんは、160万円を3年間の分割返済(毎月約45,000円)となります

ケース2

Bさんは、借金の合計が350万円で、財産はほとんどありません。この場合、Bさんは、100万円を3年(毎月28,000円程度)を返済することになります。

借金の5分の1最低弁済額財産の合計
借金額合計  350万円×5分の1
=70万円  
100万円  ほとんどない 財産の合計
0円

Bさんは、100万円を3年間の分割返済(毎月約28,000円)となります

個人再生手続きのメリット

住宅を手放さずにキャッシングやショッピングなどの借金の返済を減額できる(破産の場合は住 宅を失う)

万が一、再生計画による支払いができなくなっても、直ちに給料などの財産の差し押さえを受けることがない(特定調停や裁判上の和解の場合、支払いが遅れると、直ちに給料などの差し押さえを受けるおそれがある)

ギャンブルや浪費が原因による借金でも手続きが利用できる(破産の場合、免責不許可(借金が免除されない)の可能性あり)

手続債権者全員の理解を得る必要がない(任意整理と異なる)

元本を大幅に減額できる(任意整理・特定調停は、元金は減額されない)

財産を清算する必要がない(破産と異なる)

「小規模個人再生」と「給与所得者等再生」

個人再生手続きには、自営業者を想定した「小規模個人再生」と、サラリーマンなどを想定した「給与所得者等再生」の2つの手続きがあります。しかし、給与所得者等再生は、返済金額が高くなる場合があるため、サラリーマン等の給与所得者であっても、小規模個人再生の申立てをするケースがほとんどです。

小規模個人再生の場合、一定割合の債権者の「不同意」(反対票)により、手続きが不成立(廃止)となってしまいますが、一般的なカード会社や消費者金融会社で不同意を出す債権者はほとんどおらず、給与所得者であっても、全国的に小規模個人再生手続きが利用されている傾向です。

個人再生の問題点

個人再生手続きは、借金の全部を手続きの対象としなければならず、一部の債権者を除外して手続きを行うことができません。これは、破産の場合も同様です。
例えば、ローン中の自動車で所有権留保付き(車検証が所有者欄がクレジット会社等になっている)ですと、原則として車は引き上げられてしまいます。また、勤務先から借入がある場合や公務員が共済から借入をしている場合は、勤務先や共済組合を債権者として扱うことになり、勤務先に個人再生の手続きを行ったことがわかってしまうだけでなく、それらの借金も減額の対象となってしまいます。

上記の問題については、状況によって何らかの対策がとれる場合がありますが、ここでは触れません。

保証人の問題

個人再生手続きの利用状況

上記のとおり、個人再生手続きは、破産の場合の不利益を回避して借金の整理ができるという画期的な手続きですが、任意整理や破産と比べると手続きが煩雑であるため敬遠する専門職が多いと思われ、破産ほど利用されていないのが実情です。直近の司法統計を見てみますと、個人の自己破産の新受件数が、年間76,000件程度であるのに対し、小規模個人再生が約9,300件、給与所得者等再生が600件と、個人再生の件数は、破産の13%程度に過ぎません。

ちなみに、みらいリーガルオフィスでは、毎年、個人再生と自己破産の申立件数は同程度であって、地域性などを考慮したとしても、全国的に個人再生の申立てが少なすぎると考えています。本来、個人再生手続によれば、大幅に支払金額を減額でき、計画的に返済して解決できたものが、専門家に勧められ任意整理をしたことにより、高額の返済を余儀なくされ、結局支払いができなくなったり、余計な返済や費用の支払いをしているケースが数多く見受けられます。
みらいリーガルオフィスは、個人再生手続きを、債務整理の選択肢の一つとして、説明してまいります。

個人再生の事例紹介

個人再生手続きの費用

個人再生の費用(認可決定確定までフルサポートします)

・認可決定(借金の一定額免除)までフルサポート《手続き完了まで責任をもってサポート》します)

・費用は、分割による支払いも可能です(毎月38,000円くらい~)。気軽にご相談ください。

・実費分(印紙代、予納郵券、通信費)として50,000円申し受けます。 
・住宅ローンの支払いが遅れていて、住宅ローンの支払い金額の変更を行なう場合は、50,000円(税抜)程度の加算があります。

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